アシナガバチについて

日本で私たちが被害に遭う蜂は3種類あり、スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチです。この中で一番攻撃性が高く危険なのはスズメバチですが、アシナガバチも油断はできません。アシナガバチは住宅地にも巣を作り、毒性が強く刺されるととても痛いので要注意です。
この記事ではアシナガバチの見分け方やその生態について説明をします。

アシナガバチの見分け方

蜂駆除

アシナガバチとスズメバチはどちらも腰の部分がくびれていて似ていますが、アシナガバチの方が細身で、脚をダラリと下げて飛びます。
アシナガバチの方がスピードが遅く、穏やかな性格で攻撃性が低いという特徴を持ちます。アシナガバチが自ら攻撃してくることは少ないですが、巣を守るためには防衛や攻撃をしてきます。スズメバチが種類によっては時速40 km もの速さで飛ぶのに対し、アシナガバチは素早い動きは苦手で、フラフラとした飛び方をしています。

アシナガバチの特徴

名前の通り細長い手足と長い胴体を持ちます。山林が近い場所の他、都市部や市街地でもその姿がよく見られます。
体長は11 mm から26 mm 程度で、色は黄色の縞模様、斑点模様の種類がよく見られます。セグロアシナガバチが黄橙色の斑紋、フタモンアシナガバチが鮮やかな黄色の斑紋、コアシナガバチは黒色の体に黄色い斑紋を持ちます。

アシナガバチの生態

アシナガバチの活動時期は4月から10月で、4月下旬頃から冬眠から覚めた女王蜂が一匹で巣作りを始めます。木の枝やベランダや軒下など、壁などに覆われていない解放された空間に巣を作ります。
アシナガバチが最も活発になるのは夏の6月から8月です。この時期のアシナガバチはオオスズメバチに攻撃されたり、台風で巣をなくすことがあります。アシナガバチは巣を失うと人家の屋根裏や天井などに集団を作ることがあります。
越冬前の10月から11月と、越冬後の3月から4月には洗濯物や布団に女王蜂が紛れ込むことがあります。そのため春と秋の洗濯物には注意しましょう。

アシナガバチの攻撃性

アシナガバチは、スズメバチと比較すると性格はおとなしめで、巣に近づいたり巣を刺激しない限り、ほとんど攻撃されることはありません。
しかし巣が大きくなってくる夏の6月から8月頃は攻撃性が高まりますので注意が必要です。アシナガバチが大人しめの性格とはいえ、刺激を与えると一斉に攻撃してきます。
アシナガバチの毒はスズメバチほど強くはありませんが、種類によってはかなり強力ですし、スズメバチと同様にアナフィラキーショックが発生する可能性があります。

アシナガバチの巣の特徴

巣の色は灰色から茶褐色をしており、模様はなく均一の色になっています。
巣の形はお椀を伏せたような形で、下から見ると六角形の部屋の一つ一つが見えます。初期の巣は傘を開いたような形をしていますが、 成熟期には灰色の円盤のようになります。
巣の大きさは小さめで、10センチメートル程度です。一つの巣にアシナガバチが50匹程度います。巣の素材は木の繊維と蜂の唾液に含まれるタンパク質を混ぜて作っており、スズメバチの巣よりも頑丈です。
アシナガバチは、植え込みや軒下、ベランダや木の枝など、壁に覆われていない開放空間に巣を作ります。毎年新しく巣を作るので、翌年以降同じ巣を使用することはありませんが、同じ場所に新しい巣を作ることはあります。

スズメバチの巣と比較するようにして言うと、スズメバチと比べると巣のサイズが小規模です。そしてスズメバチの巣には外殻がありますが、アシナガバチの巣には外角がなく六角形の蜂の巣穴(ハニカム構造)がむき出しになっているのが特徴です。

アシナガバチは人間の生活する空間に最もよく巣を作りますが、スズメバチほど攻撃的ではないため、人の生活に支障のある場所でなければ冬まで刺激せずに見守り、巣は翌年除去するという方法もあります。
しかしスズメバチも一緒であるヒメスズメバチはアシナガバチの幼虫を餌にしているため、夏になるとアシナガバチの巣にいる幼虫を狙って寄ってくることがあります。

アシナガバチの巣を駆除する場合は専門の業者に依頼した方が良いですが、もし自分で駆除する場合は、蜂の活動が鈍る夜間に行います。蜂は光に向かって飛ぶ習性がありますので、照明器具で巣を照らしたりせずに、部屋から漏れる明かり程度で作業を行います。
服は厚手の素材で、白い色のものを着用し、皮膚は露出しないようにします。
殺虫剤を噴射して駆除します。蜂は殺虫剤に弱く、短時間でほとんどが死んでしまいますが、攻撃を避けるためにも蜂用の殺虫剤を用意する方が良いです。これは薬剤の噴射力が強力で、2メートルや3メートル離れた所からでも噴射できますので、これを風上から噴射するようにします。蜂が羽音を立てることもありますが恐れずに噴射を続けます。途中で殺虫剤が切れてしまうと、蜂を刺激したまま終わることになり危険なので、予備の殺虫剤を用意するようにしてください。翌日生き残った蜂がいないことを確認して、巣を落とします。

アシナガバチの主な種類

アシナガバチはスズメバチと比べると性格がおとなしい傾向にありますが、そんなアシナガバチの中でも、セグロアシナガバチ、コアシナガバチ、キアシナガバチの3種類は、攻撃性・毒性が高めな種類として知られています。

セグロアシナガバチ

本州でよく見かけるアシナガバチで、人家付近や平地に巣を作ります。
セグロアシナガバチの体長は21 mm から26 mmほど。キアシナガバチとともに、最大級のアシナガバチと言われます。体の色は黒で、黄褐色の斑紋を持ちます。胸部の外側が黒いのでこのような名前がついています。
木の枝や、家屋の軒下や、家屋周辺の様々な隙間に巣を作ります。

セグロアシナガバチはアシナガバチの中でも強力な毒を持っており、刺された痛み・痒み・腫れは強く、アナフィラキシーショックでの死亡例もあります。働き蜂の数は50匹以下ですが、攻撃性はかなり強く、刺激すると一斉に飛び掛ってきます。

コアシナガバチ

コアシナガバチは、セグロアシナガバチのように人家の近くに巣を作るので、遭遇の可能性は高いでしょう。他のアシナガバチに比べて小さいですが、毒性は強く、刺されると痛みや腫れが激しく生じます。
体長は11 mm から17 mm で、体の色は黒色で赤褐色の斑紋があります。
取り替えた形の巣を作るという特徴があります。

キアシナガバチ

キアシナガバチは、日本に生息するアシナガバチの中で最大級の大きさです。またアシナガバチの中では攻撃性が最も高く、刺された痛みや痒みや腫れは、アシナガバチの中で最も激しいと言われます。
体長は21 mm から26 mm ほどで、体の色は黒。黄色い斑紋が特徴的です。
低山地がすみかで、家の軒や木の枝に巣を作るなど、家屋周辺によく現れます。働き蜂が50匹程度と少ないですが、巣に近寄ると体を震わせて威嚇します。

フタモンアシナガバチ

フタモンアシナガバチは本州で最もよく見られるアシナガバチで、人家周辺に巣を作ることが多く、働き蜂の数は最大100匹程度と他のアシナガバチに比べると集団の規模が大きいですが、威嚇性、攻撃性は低く、毒性も弱いです。しかしそれでも刺されると激しい痛みや腫れが生じます。春先や秋頃に女王蜂が洗濯物の隙間などには潜り込むことがあります。
体長は14 mm から18 mm 程度で、体の色は黒色。鮮やかな黄色の縞があり、腹部に二つの黄色い紋があるためこのように呼ばれます。